幻辞.com

瞭々

瞭々
名詞
1
標準
文例 · 用例
そこでかなり正確な数理と、着実とを以て、諄々と話しつつあるにかかわらず、七兵衛の頭におのずから熱を伝え、実際的に信頼のできる根拠があるだけに、七兵衛のロマン味をも刺戟すること一方ではないと見え、老巧な七兵衛が、海を説かれて、少年のような興味を植えつけられて、勇みをなした有様が、瞭々としてわかります。
勿来の巻 大菩薩峠 青空文庫
その音色をさとるとお雪ちゃんが、胸をわくわくさせて、はずみきってくる鼓動が、弁信の勘には瞭々と伝わって来るのでしょう、それを抑えるように言いました。
不破の関の巻 大菩薩峠 青空文庫
しかし、まもなくこの陰惨不祥なる「墓穴」の地だけは完全に脱出すると、こんどはまた胆吹の裾野が瞭々として、秋の花野が広々として、琵琶湖が一面に水平線を立てました。
新月の巻 大菩薩峠 青空文庫
瞑眩のうちに陶酔を感じながら空壜をおっぽり出すと共に、またそこいらをガラガラひっかき廻しているうちに、ふと、折込みの舶来のガラス鏡を発見し、「ははあ、こいつ、お絹のやつが異人からせしめたのだな」と言って、くりひろげる途端、思わず自分の面がうつると、明々瞭々たる三ツ眼!
白雲の巻 大菩薩峠 青空文庫
吾人は朝鮮の爲め、外交の上に於て此の如き塲合に引き入れられ突として第二の支那と草野に相逢ふの日あるは瞭々乎として見るべき也。
竹越三叉 深憂大患 青空文庫
かく和名でショウブ、セキショウといえば、少しも紛らわしく混雑することもなく、極めて明々瞭々たりであるが、さてそこへ漢名が割りこんで来るとたちまち面倒が起こってきて、是非とも一言を費さねばすまん始末となる。
牧野富太郎 植物一日一題 青空文庫
老婆は私が何うするかと思って、冷かに睨んでいるのが瞭々と分った。
小川未明 老婆 青空文庫
気に留めて考えれば空漠として、悲しくも、喜ばしくもないが、静かに落付ていると胸の底から細い、悲しい、囁きのように、痛むともなく痛みを覚えて、沈鬱な寂寞たる夕暮の田園の景色などが瞭々と目の前に浮んで来る。
ハーン先生の一周忌に 面影 青空文庫