綸
綸
名詞
標準
文例 · 用例
晃平は、前の川へ釣綸を垂れて、岩魚一尾を得た。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
) 几帳とも、垂幕とも言ひたいのに、然うではない、萌黄と青と段染に成つた綸子か何ぞ、唐繪の浮模樣を織込んだのが窓帷と云つた工合に、格天井から床へ引いて蔽うてある。
— 泉鏡太郎 『人魚の祠』 青空文庫
生地は紋綸子の黒地を、ほとんど黒地を覗かせないまで括り染の雪の輪模様に、竹のむら垣を置縫いにして、友禅と置縫いで大胆な紅梅立木を全面に花咲かしている。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
そこで世界経綸の抱負と無産階級の意義と露西亜への好意と、マクドナルドの打倒――等々がアクセント許りに煮詰められた用語で拍手の唸りを長閑に反応させてゐる。
— 岡本かの子 『英国メーデーの記』 青空文庫
部屋の中にいながら長い釣竿を出して小さい池に向って立て膝をして綸を垂らしています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
なぜというに、いま、樹立の中を出ますと、高縁の突端に薄汚れたが白綸子の大蒲団を敷込んで、柱を背中に、酒やけの胸はだけで、大胡坐を掻いたのは藪の中の大入道。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
余所ゆきを着ていた上衣だけ脱いで、そのまま寝床へ入った、緋の紋綸子の長襦袢のまま、手を伸ばして、……こりゃ先生だと、雪の腕、という処だ。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
その清浄な膚をもって、緋の紋綸子の、長襦袢で、高髷という、その艶麗な姿をもって、行燈にかえに来た雇の女に目まじろがない、その任侠な気をもって、すべてを愛吉に与えてその晩……」「…………」丹平黙然として少時不言。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫