鯉幟
こいのぼり
名詞
標準
文例 · 用例
鯉幟を見て 青空に高く、五月の幟が吹き流れてゐる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
鯉幟を見て 日本の鯉幟りは、多くの外國人の言ふ通り、世界に於ける最も珍しい、そして最も美しい景物の一つである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
――人間の意志の力ではなく、自然の氣まぐれな氣流ばかりが、鯉幟りの魚を泳がすやうに、我我の子供等もまた、運命を占筮されてゐるのである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
理由のない不安と憂鬱の雰囲気のようなものが菖蒲や牡丹の花弁から醸され、鯉幟の翻る青葉の空に流れたなびくような気がしたものである。
— 寺田寅彦 『五月の唯物観』 青空文庫
道々の青葉若葉の家村には五月の鯉幟がへんぽんと翻っていましたが、館林に来た頃は躑躅もぽつ/\咲きかけたという噂を聞きます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
悉く畑へ走つた村落の内には稀にさういふ青葉の間に鯉幟がばさ/\と飜つてはぐたりと成つて、それが朝から永い日を一|日、さうして其の家族が日は沒したにしても何時になくまだ明るい内に浴みをして女までが裂いた菖蒲を髮に卷いて、忙しい日と日の間をそれでも晴衣の姿になる端午の日の來るのを懶げに待つて居る。
— 長塚節 『土』 青空文庫
今日は日曜日であり、端午のお節句である、鯉幟の立つてゐる家では初誕生を祝ふ支度に忙しかつた(私のやうなものでも、かうして祝はれたのだ!
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
――・うぐひすうぐひす和尚さん掃いてござる・なんとよい日の苗代をつくること・山はしづかなてふてふがまひるのかげして・山かげふつとはためくは鯉幟・岩に口づける水のうまさは・若葉したゝる水音みつけた 四月二十六日 曇。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫