雨期
うき
名詞
標準
文例 · 用例
戸外は――地面は半ば乾いてあつたかい、空を風は、目標ありげにとぶ、梅雨期の或る一日だ。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
梅雨期には、滅茶苦茶に照って、体中の水気を焙り出してしまうほど暑く、土用に入ってから、ジトジト降ったり、涼し過ぎたり、麹室の中みたいに暗くて蒸し暑く息苦しかったりした。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
そんな風な、乾燥した梅雨期に、緑屋の上の飲料水の沢に、掘鑿が突き当った。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
雨期が来ると皆解放して森林の棲家へ帰してやるが、また飼養所へ帰って来る。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
梅雨期のせいか、その時はしとしとと皮に潤湿を帯びていたのに、年数も経ったり、今は皺目がえみ割れて乾燥いで、さながら乾物にして保存されたと思うまで、色合、恰好、そのままの大革鞄を、下にも置かず、やっぱり色の褪せた鼠の半外套の袖に引着けた、その一人の旅客を認めたのである。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
かしこの回向堂を志して、ここまで来ると、あんなに日当りで、車は母衣さえおろすほどだったのが、梅雨期のならい、石段の下の、太鼓橋が掛った、乾いた池の、葉ばかりの菖蒲がざっと鳴ると、上の森へ、雲がかかったと見るや、こらえずさっと降出したのに、ざっと一濡れ。
— 泉鏡花 『縁結び』 青空文庫
一体椎という樹は梅雨期に葉が赤くなるものなのでしょうか。
— ――或る私信―― 『橡の花』 青空文庫
然しなんと云っても堪らないのは梅雨期です。
— ――或る私信―― 『橡の花』 青空文庫