大溝
おおどぶ
名詞
標準
large ditch
文例 · 用例
土用が明けてまだ間もない秋の朝日はきらきらと大溝の水に映って、大きい麦藁とんぼが半七の鼻さきを掠めて低い練塀のなかへ流れるようについと飛び込んだ。
— お化け師匠 『半七捕物帳』 青空文庫
両側に軒の並んだ町ながら、この小北の向側だけ、一軒づもりポカリと抜けた、一町内の用心水の水溜で、石畳みは強勢でも、緑晶色の大溝になっている。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
前に大溝の幅広い溝板が渡っていて、粋でがっしりした檜の柾の格子戸の嵌った平家の入口と、それに並んでうすく照りのある土蔵とが並んでいた。
— 岡本かの子 『蝙蝠』 青空文庫
どことも覚えない大溝が通っていて小橋がまばらに架り、火事の焼跡に休業の小さい劇場の建物が一つ黝み、河沿いの青白い道には燐光を放つ虫のようにひしゃげた小家が並んでいる。
— 岡本かの子 『蝙蝠』 青空文庫
」 電車を赤十字病院下で下りて、向うへ大溝について、岬なりに路を畝つて、あれから病院へ行くのに坂がある。
— 泉鏡太郎 『艶書』 青空文庫
……川も此の邊は最う大溝で、泥が高く、水が細い。
— 泉鏡太郎 『松の葉』 青空文庫
一町ばかり、麹町の電車通りの方へ寄つた立派な角邸を横町へ曲ると、其處の大溝では、くわツ、くわツ、ころ/\ころ/\と唄つて居る。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
三宅坂の方面から参謀本部の下に沿って流れ落ちる大溝は、裁判所の横手から長州原の外部に続いていて、昔は河獺が出るとかいわれたそうであるが、その古い溝の石垣のあいだから鰻が釣れるので、うなぎ屋の印半纏を着た男が小さい岡持をたずさえて穴釣りをしているのをしばしば見受けた。
— 岡本綺堂 『御堀端三題』 青空文庫
作例 · 標準
例句