面像
めんぞう
名詞
標準
文例 · 用例
此に就て此處で詳しく述べて居る餘裕はないが、無常な時の流れに浮ぶ現實の世界の中から切り取つた生きた一つの斷面像を、その生きた姿に於て活々と描寫しようといふ本來の目的から、自然に又必然に起つて來る要求の一つが此の「時の決定」であることは、恐らく容易に了解されるであらうと思はれる。
— 寺田寅彦 『天文と俳句』 青空文庫
横顔はとにかく中止として今度はスケッチ板へ一気呵成に正面像をやってみる事にした。
— 寺田寅彦 『自画像』 青空文庫
幹枝は膨んだ腹をそのままに作り、他の二人には冥界の獄卒が着る衣裳を纏わせて、いわゆる六道図絵の多面像を作り上げたのでした」 とそういってから、杏丸の眼にチカッと嗤うような光が現われた。
— 小栗虫太郎 『失楽園殺人事件』 青空文庫
美くしいパステルの粉絵具に似た、浅緑と淡黄と菫いろとの透きとほりつつ降り注ぐ静かなる暁の光の中、東の空の一端に、天をつんざく珊瑚紅の熔岩――新しい世界の噴火……わたしは此時、新しい目を逸さうとして、思はずも見た、おお、彼処にある、巨大なダンテの半面像が、巍然として、天の半に。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
それが世間に流布して「夢の善導」という図になっているが、その面像は後に支那から渡った処のものに違わなかったということである。
— 中里介山 『法然行伝』 青空文庫
と申しますのはこの破片にはどうやらナポレオンの半面像がありますからなあ……と申上げれば名前を申上げずとも御解りでしょうが……』『アルブュフェクス侯爵……』とプラスビイユが呟いた。
— モウリス・ルブラン 『水晶の栓』 青空文庫