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敵本

てきほん
名詞
1
標準
文例 · 用例
元来の出発点が敵本主義で、芸術的の発奮があった訳でも何でもないのであるが、ともかくも木戸銭を取って観客を呼ぶ以上、なにかの売物がなければならないので、彼らはその目的の政談以外に一つの売物をかんがえた。
岡本綺堂 明治劇談 ランプの下にて 青空文庫
T子が相手の恋を敵本主義の裏打ちものとウスウス感付いていた事は、今話した通りであるが、今一つにはそのWが、甚しい肺病の家筋で、本人の体質がその事実を遺憾なく証明している事を、その頃になって初めて聞き知ったからで、この点についてWはT子に対して全然、事実を偽っていた事が、同時に判明したからであった。
夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫
兼山の採ったこの方法は即ち敵本主義の側面立法であって、民心を刺激すること寡なくしてしかも易俗移風の効多きものである。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
認識が本来模写ということだという点を、古来の形而上学に対する敵本主義故に見逃したことが、カントの物自体の問題をクリティカルな袋路に追いやったのである。
戸坂潤 現代唯物論講話 青空文庫
だから氏の反動家ぶりなるものは、それ以来、常に、敵本的なものであり、いつも多少なりとも、逆襲的で、皮肉な性質をもっているのである。
戸坂潤 世界の一環としての日本 青空文庫
主張は一つの敵本主義を仮定する。
戸坂潤 クリティシズムと認識論との関係 青空文庫
私の文章が、上野氏の敵本対象が決して氏の捏造でないことを第三者に証明する役目を果すことは、少しばかり光栄であるが、それによって私の見解の骨子と輪廓までも捏造されることは、苦痛である。
戸坂潤 『唯研ニュース』 青空文庫
大衆的政治勢力として失敗した彼等は、そこで今云った人民戦線という政治思想的なカテゴリーを敵本対策として、之にすがることによってわずかに一種の言論戦をそれとなく展開して来たのである。
戸坂潤 一九三七年を送る日本 青空文庫