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煦々

煦々
名詞
1
標準
文例 · 用例
こうやって、煦々たる春日に背中をあぶって、椽側に花の影と共に寝ころんでいるのが、天下の至楽である。
夏目漱石 草枕 青空文庫
しかるに当局および老政治家らの意見は、三蔵を死に処して露国に謝するに非ざれば、国難忽ちに来らん、国家ありての後の法律なり、煦々たる法文に拘泥して国家の重きを忘るるは学究の迂論なり、宜しく法律を活用して帝国を危急の時に救うべしというにあった。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
「これで一切のくくりがついた、やがて、花も咲けば実もむすばれよう」と彼は誰にともなく云った、「――春日|煦々の船出じゃからのう」 家族を落ち着かせた家中のものは邦夷の周りに集っていた。
本庄陸男 石狩川 青空文庫
村田の煙管未世に出でざりし時、われらが祖先は既にシガレツトを口にしつつ、春日煦々たる山口の街頭、天主会堂の十字架を仰いで、西洋機巧の文明に賛嘆の声を惜まざりしならん。
―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文― 骨董羹 青空文庫
玻璃張りの天蓋を透して降りそそぐ煦々たる二月の春光を浴びながら、歓談笑発して午餐に耽る凡百の面々を眺め渡せば、これはさながら魑魅魍魎の大懇親会。
南風吹かば ――モンテ・カルロの巻―― ノンシャラン道中記 青空文庫
陽はその中腹あたりの岩肌をキラキラと輝かせているが、天地万物|寂としてしかも陽だけが煦々として、なごやかにこの野原に遊んでいる。
橘外男 墓が呼んでいる 青空文庫
右手彼方には階高く大理石の円柱林立して、エフィゲニウス邸の大殿堂が空を圧して聳え立ち、陽光は煦々として建物を蒼穹の中に浮き立たせ、ペンを軋ませている私の指先に戯れ、大噴泉は絶えず菫の薫りを四辺に撒き散らしているのです。
橘外男 ウニデス潮流の彼方 青空文庫