観念性
かんねんせい
名詞
標準
文例 · 用例
インフレーションやアルバイトときりはなして、今日のわたしたちの学習生活が存在しないとおり、もし、今日の若い人々が経済事情をけとばしたような抽象的な学生生活を語るなら、その虚構の観念性を、誰よりも先ず若い人たち自身が軽蔑するであろう。
— 宮本百合子 『生きつつある自意識』 青空文庫
数学の公理理解における観念性のところなど。
— 一九三八年(昭和十三年) 『獄中への手紙』 青空文庫
治安維持法の犠牲となった作家たちが、転向の動機を、めいめいの個人的性格の問題、インテリゲンチアと勤労大衆との間にある思想的ギャップ――インテリゲンチアの観念性という理由づけで、作品化したことについての疑問を提出したことは誤っていない。
— 宮本百合子 『あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)』 青空文庫
〔欄外に〕 秋の気のまわしかたのロジカル性は――それだけで機械的に組立ててゆく観念性。
— 一九三九年(昭和十四年) 『日記』 青空文庫
この場合にあらわれている主人公の知識人、意識人としての自分の本質を放棄した民衆性への追随と、民衆性、庶民性、その素直さなどというものの解釈にある感傷的な甘さ、感傷的な観念性が、時代的なものとして関心をひくのである。
— ――今日の民衆、知識人への課題―― 『全体主義への吟味』 青空文庫
ジイドが、彼の才能と称され、又誤って評価された観念性によって新しい一つの社会を偶像化して空想したことは彼の自由である。
— ――ジイド知性の喜劇―― 『こわれた鏡』 青空文庫
神秘主義がファッシズムとの間にもっている危険な関係は、ナチスの美学がその後あらわにしたように、現実からの逃避や、主観的観念性、幻想の壤土となるからである。
— 宮本百合子 『文芸時評』 青空文庫
但しここでは近世哲学の発端は、観念性の尊重という処におかれているから、吾々の見解をうらづけるに充分でない。
— 戸坂潤 『科学論』 青空文庫