悸然
悸然
名詞
標準
文例 · 用例
私は悸然として乳の上を抑えた、白い手の芽も飛び出さなかつた、と思ふとぢつと黙んだ唇が稍安心と憎悪の薄笑ひを浮べる。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
』 私は悸然とした。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
」 わたくしは悸然として振返りましたが、そこらに見識つたやうな顔は見出されませんでした。
— ――「近代異妖編」 『停車場の少女』 青空文庫
狂人か、乞食か、但しは彼の山※の眷族か、殆ど正体の判らぬ此の老女を一目見るや、市郎も流石に悸然とした。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
市郎は悸然として熟視ると、これはとは大差ない程に見ゆる下級労働者らしい扮装で、年の頃は五十前後でもあろう、髪を長く伸して、尖った顔に鋭い眼を晃らせ、身には詰襟の古洋服の破れたのを着て、足には脚袢草鞋を穿いていた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
忠一も一旦は悸然としたが、猶其の様子を見届ける為に、倒れたる女を抱え起して、比較的薄明るい門口へ連れ出して見ると、正しく女には相違ないが、もう息は絶えていた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
私は悸然として泣いた。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
私は悸然として、慌てて雑誌を机の下へ投げ込んで弾機の様に立ち上つた。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫