御布施
おふせ
名詞
標準
文例 · 用例
時に、妙法蓮華経薬草諭品、第五偈の半を開いたのを左の掌に捧げていたが、右手に支いた力杖を小脇に掻上げ、「そりゃまあ、修行者は修行者だが、まだ全然素人で、どうして御布施を戴くようなものじゃない。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
十時少し廻った頃、松本は菓子と御布施を僧の前に並べて、もう宜しいから御引取下さいと断わった。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
吾輩随分田舎芸妓に御布施をし置いたから、乾闥婆に転生りは請合で何がさて馬が似るちゅうのが楽しみじゃ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
近所の法類からしかるべき導師を頼むほどの御布施が出せなかったのである。
— 田山花袋 『田舎教師』 青空文庫
「山に登らせたまひしより、明けても暮れても床しさは心を砕きつれども、貴き道人となしたてまつる嬉しやと思ひしに、内裏の交りをし、紫甲青甲に衣の色をかへ、御布施の物とりたまひ候ほどの、名聞利養の聖人となりそこね給ふ口惜さよ。
— 倉田百三 『女性の諸問題』 青空文庫
イムバネスがそれを受取ると、その男は別に二十銭銀貨を一つ出して、「これは御布施で。
— 水野葉舟 『帰途』 青空文庫
疲弊した村のことで御布施の集りがよからう筈はない。
— 坂口安吾 『禅僧』 青空文庫
おおかた、明日の御布施がどのくらい集まるだろうとか、出かけて行った先きの檀家で、どんな料理が出るだろうとか、そんなことをでも考えているんでしょう。
— 坂口安吾 『ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格』 青空文庫