ひやり
ひやり
副詞
標準
文例 · 用例
糟谷はおぼえずひやりとする。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
且つ一つには、例の「人の心を見通す」聰明さから、彼一流の思ひやりで、たまたま私と合槌を打つてるのだとも考へた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
彼は「思ひやり」と友情とに充ちた、愛すべく慕はしき人のやうでもあり、反對に冷酷で意地惡き人のやうにも感じられた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
或る刃物のやうなものが、ひやりとして胸に突き出された恐怖を感じた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
苦勞した人間と、苦勞しない人間(世間的生活的の意味でいふ)とは、他人に對する「思ひやり」や、氣の毒な人たちに對する心のもち方ですぐわかつてしまふ。
— 萩原朔太郎 『室生犀星の印象』 青空文庫
同じエゴイストでも、苦勞した人はどこか他人に對する「思ひやり」が深い。
— 萩原朔太郎 『室生犀星の印象』 青空文庫
おふくろの方では、水を飲ませといてから殴るのであるから、充分に思ひやりのある処置と信じてゐるのだらうが、殴られる子供の側になつて考へると、何のために、母親が自分を殴るのか、見当がつかないものだから、その抗議として、死にもの狂ひに、あらん限りの悲鳴を上げるのである。
— 葉山嘉樹 『井戸の底に埃の溜つた話』 青空文庫
ところで、私は、こないだ君のエッセイみたいなものを、偶然の機会に拝見し、その勿体ぶりに、甚だおどろくと共に、君は外国文学者(この言葉も頗る奇妙なもので、外国人のライターかとも聞えるね)のくせに、バイブルというものを、まるでいい加減に読んでいるらしいのに、本当に、ひやりとした。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫