逸らせる
そらせる
動詞
標準
文例 · 用例
彼の自殺は、口供書に偽りがあるとわかれば嫌疑を強めようが、そういう偽りがなければ、決しておかしい事がらでもなければ、普通の分析方針から我々を逸らせるほどの必要のある事がらでもない。
— 『モルグ街の殺人事件』続編 『マリー・ロジェエの怪事件』 青空文庫
眼を逸らせるようにしたのである。
— 室生犀星 『童子』 青空文庫
それを逸らせるためにはあなたさまの御無事のお便りをいただかなければなりません。
— 室生犀星 『津の国人』 青空文庫
彼は慌しく視線を側へ外らせると、さり気なく羽根楊子をとりあげて、「では、御先へ」と、隣の去来に挨拶した。
— 芥川龍之介 『枯野抄』 青空文庫
が、やはり気になるのでちらちらと坊主頭や陥没した鼻を眺めては、また急いで視線を外らせる。
— 北條民雄 『癩院記録』 青空文庫
これこそ自分自身だと信じ込んで、そんなにしてまで守っていたものが、他日気がついて見たら、いつの間にか空虚だったと云うような目になんぞ逢ったりするのではないか……」 彼女はそういう時、そんな不本意な考えから自分を外らせるためには窓の外へ目を持って行きさえすればいい事を知っていた。
— 堀辰雄 『菜穂子』 青空文庫
「ええ」と明はちらりと彼女の横顔へ目を投げ、それから又急いで目を外らせるようにしながら、端近い革張の椅子に腰を下ろした。
— 堀辰雄 『菜穂子』 青空文庫
平太夫がそんなに年寄でないことや、あの女は娘でないことも俺は氣が付いて居たよ」「――」「俺に疑はれたと思ふと、手前に寢酒をあてがつた後で家を脱出し、兩國の酒屋に押入つて、竹乘の倉松に疑ひを被せたり、女隱居にわざと素足や總髮を見せて、飛んでもない方へ疑ひを外らせる工夫をしたのさ。
— 八五郎の戀 『錢形平次捕物控』 青空文庫