山境
やまざかい
名詞
標準
文例 · 用例
それがすっかり目標から外れて、仏頂寺弥助の亡霊がさまよう越中の山境へも出でず、白山を経ての菜畑であった加賀の金沢とも、およそ方面を異にして、越前へめぐり込んでしまったということを、穴馬谷に落着いて、山民から聞いて初めてそれと知ったという有様なのでありました。
— 山科の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
一同はそれらの小屋をも後にして俗に千本桜といわれた桜の立木の間をくぐり抜け、金竜山境内の裏手へ出るとそぞろ本山開基の昔を思わせるほどの大木が鬱々として生茂っている。
— 永井荷風 『散柳窓夕栄』 青空文庫
伊予と土佐の山境に吉野川の源流が潺峡をなしているが、友人がそこで釣った山女魚の濃淡を味あった。
— 佐藤垢石 『魔味洗心』 青空文庫
そしてようよう、駿遠の山境を踏破してきた。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
甲斐の東端、北武蔵との山境にある、御岳神社の紅葉の季節にあたって、万樹紅焔の広前で、毎年おこなわれる兵学大講会に、ことしは、大久保石見守長安が、家康の名代としてでかけるといううわさである。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
これから武蔵へかかる山境は、姥子、鳴滝、大菩薩、小仏、御岳、四|顧、山また山を見るばかりの道である。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
あらためていうまでもなく、ここは御岳のお止山で、足踏みのならないところだのに、ふたりはその禁制を気づかずに、どこの山境から迷いこんできたのであろう。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
大妻籠無極の太刀風一 信州美濃の山境、木曾の妻籠峠に、この二、三年前から、不思議な行者がこもりはじめた。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫