石印
せきいん
名詞
標準
文例 · 用例
「や、小泉さんに進げるものが有る」 と主人は、手を鳴らして酒を呼んだ後で、桑畠の中から掘出されたという忠寛の石印を三つばかり三吉の前に置いた。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
殊に函入の『源氏物語』や上海版の函入の石印本などが馬鹿に光って無知な書生ッぽの私を驚かした。
— 内田魯庵 『美妙斎美妙』 青空文庫
銅印が一つ、石印が二つ三つ、ペン皿に代へた竹の茶箕、その中の万年筆、それから玉の文鎮を置いた一綴りの原稿用紙――机の上にはこの外に老眼鏡が載せてある事も珍しくない。
— 芥川龍之介 『漱石山房の秋』 青空文庫
誤植の次手に又思ひだしたが、何時か石印本の王建の宮詞を読んでゐたら、「御池水色春来好、処処分流白玉渠、密奏君王知入月、喚人相伴洗裙裾」と云ふ詩の、入月が入用と印刷してあつた。
— 芥川龍之介 『本の事』 青空文庫
僕はこの誤にぶつかつてから、どうも石印本なるものは、一体に信用出来なくなつた。
— 芥川龍之介 『本の事』 青空文庫
)唯近人の作品中、「越哉」及び「鳳鳴岐山」と刻せる浜村蔵六の石印のみは聊か他に示すに足る古玩たるに近からん乎。
— 芥川龍之介 『わが家の古玩』 青空文庫
一本の玉釵に七十萬錢を擲つ者もあれば(『小學』卷六)、一株の牡丹に數萬錢を惜まぬ者――唐の柳渾の詩に近時無奈牡丹何、數十千錢買一顆一」は底本では「顆一」](石印『全唐詩』卷七)とある――もあつた。
— 桑原隲蔵 『大師の入唐』 青空文庫
この茶人の庭には石印の形をした銅の支那の灯籠があつた。
— 室生犀星 『故郷を辞す』 青空文庫