持分
もちぶん
名詞
標準
文例 · 用例
我々の存在の一部をもつて「見えざるもの」に協力してゐる、(少くとも)見かけだけはそのごとくに見える、そして我々の生きてゐるかぎり、我々の持分である「見えざるもの」を増加せしめなければならないところの、我々の裡で。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『ドゥイノ悲歌』 青空文庫
ものは分け持ちや、おれ達は持分の御普請に精出すのが何より阿弥陀さまへの御奉公じゃ。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
目鼻立の愛くるしい、罪の無い丸顏、五分刈に向顱卷、三尺帶を前で結んで、南の字を大く染拔いた半被を着て居る、これは此處の大家の仕着で、挽いてる樟も其の持分。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
町内の若い者、頭分、芸妓家待合、料理屋の亭主連、伊勢屋の隠居が法然頭に至るまで、この床の持分となると傍へは行かない。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
」「は、それが、つい、おうわさばかり伺いまして、お療治はいたしません、と申すが、此屋様なり、そのお座敷は、手前同業の正斎と申す……河豚のようではござりますが、腹に一向の毒のない男が持分に承っておりましたので、この正斎が、右の小一の師匠なのでござりまして。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
目鼻立の愛くるしい、罪の無い丸顔、五分刈に向顱巻、三尺帯を前で結んで、南の字を大く染抜いた半被を着て居る、これは此処の大家の仕着で、挽いてる樟もその持分。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
口に出したら最後、それは持分の喪失を意味するのですからね。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
「それでは、儂が伸子に愛を求めたのを発見されたために、持分を失うまいとして、グレーテさんを殺したのだ――と。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫