淡墨
たんぼく
名詞
標準
pale Indian ink
文例 · 用例
かくて翌日まさに福井に向かいて発足すべき三日目の夜の興行を※として煙の布くがごとく、淡墨を流せる森のかなたに、たちまち跫音の響きて、がやがやと罵る声せるは、見世物師らが打ち連れ立ちて公園を引き払うにぞありける。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
顔は高熱に上気して桃色に燃えていたが、眼の縁、口の周り、頬の辺りなど、いつのまにか淡墨色のくまどりが現われて、大人の女の古びやつれたような表情に見えていた。
— 岡本かの子 『勝ずば』 青空文庫
糢糊として僅かに辨ず可きの所、淡墨一抹、人は牛を追ふて悠々として現はる。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
懸崖の上の茶亭に憩ひて、眺望するに、千里模糊として、さながら淡墨の山水畫を見るが如し。
— 大町桂月 『北總の十六島』 青空文庫
唯ひとつ淡墨色の何とかいふものを読んだだけだつた。
— 田山録弥 『三月の創作』 青空文庫
地は淡墨で髮の毛と齒とが黒い、キモノは下着から、膝にこぼれた襦袢から袖も襟も全部緑色だ。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫
それがそれぞれの調子と濃淡とで統一されて落付いて、繪具は草汁らしいが黄色の交らないコバルト系の色彩で、淡墨と墨とに實に、無類の調和をもつた繪だつた。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫
これはある年、京都にゐたころ祇園から若王子へぬける道の道具屋にあつた、歌麿筆|鐵※をつける女の圖がやはり墨と淡墨と緑の色調で、その繪を欲しいと思つてとうとう手に入れそこなつたので、その繪から受けた暗示が創作的な版畫の夢になつたらしくも思はれる。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫
作例 · 標準
水墨画では、濃墨と淡墨を使い分けて奥行きを表現する。
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彼の書いた手紙は、淡墨でさらさらと流れるような筆跡だった。
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落ち着いた雰囲気の作品には、淡墨の表現がよく合う。
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