屑箱
くずばこ
名詞
標準
文例 · 用例
ゲーテも、ハイネも、ニイチェも、日本では早くから名が叫ばれて流行し、その文學的概論さへ解らない中に、既に「流行おくれ」となつてバタ屋の紙屑箱に賣られて行つた。
— 萩原朔太郎 『初めてドストイェフスキイを讀んだ頃』 青空文庫
巻煙草を取出していた鼈四郎はこれを聞くと、煙草を口に銜えたまま鉢を掴み上げ臂を伸して屑箱の中へあけてしまった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
そこに料理は最高の芸術だといえる性質があるのだ」 お絹は屑箱の中からまだ覗いているアンディーヴの早春の色を見遣りながら「鼈四郎の意地悪る」 と口惜しそうにいった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
紙屑の散ばつてゐるのは、屑箱の中に入れ、紅茶茶碗のよごれてゐるのは其方の卓の方へと持つて行つて置いた。
— 田山録弥 『時子』 青空文庫
私は屑箱を台にすると、高いかもいのスイッチをひねった。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
古い由緒も、非常識な夫の手にかかっては、解剖のあとの屑骨などを抛げこんで置く地中の屑箱にしか過ぎなかった。
— 海野十三 『俘囚』 青空文庫
彼女は、リボンのかわりに叔母の裁ち屑箱から細い紫繻子の布端を見つけ出した。
— 宮本百合子 『街』 青空文庫
屑箱の中の屑のようなものを喰って、寝る目も寝ずに計算ばかりしてたんだ。
— 久生十蘭 『黒い手帳』 青空文庫