幻辞.com

発油

はつゆ
名詞
1
標準
文例 · 用例
障子に揮発油をぶっかけて、マッチで点火したら、それは大いに燃えるだろうが、せいぜいそれくらいのところしか想像に浮んで来ないのであって、あんな、ふとい大黒柱が、めらめら燃え上るなど、不思議な気がする。
太宰治 春の盗賊 青空文庫
テーブルの上へ、まだ活字が揮発油で濡れているパリ・ミデイの一版を抛り出して、キャフェの蕭条をまづ第一に味わいに来たのは Boulevardier(界隈の人、或は大通漫歩の人と訳すべきか)と呼ばれている巴里の遺物である。
――朝と昼―― 巴里のキャフェ 青空文庫
まづ第一にひげをはさみでぢゃきぢゃき刈りとって次に揮発油へ木タールを少しまぜて茶いろな液体をつくって顔から首すぢいっぱいに手にも塗った。
宮沢賢治 税務署長の冒険 青空文庫
たとえば手近なところで震災火災風災に対する科学的常識とか、細かいことではたとえば揮発油取り扱いの注意とか、誤って頭を打撲したときの手当とかいうものは万人必要の知識であるが自分の知る限り少なくも十分には取り扱われていない。
寺田寅彦 柿の種 青空文庫
船員は、群れてくる船蟲を、揮発油で防ぎながら、「ねえ旦那、こりゃ他殺でしょうかねえ。
小栗虫太郎 地虫 青空文庫
やれ蚊が多くなった、熱病を漫布するとて、石油や揮発油ごとき一時的の物を買い込み撒きちらすよりは、神社の胡燕くらいは大目に見て生育させやりたきことなり。
南方熊楠 神社合祀に関する意見 青空文庫
同夜、何等かの水に非ざる液体(例えば香水、化粧水、又はクリーニング用の揮発油の如きもの)等を口にしたる証左にして、その他の病的現象の大部分も、該液体の作用と認むるを自然に近きものと思惟さる。
夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫
私は揮発油を嗅いでも、すぐにフラフラになる性分ですから××××を沢山に嗅いだら、まだ火事にならないうちに麻酔し過ぎて、ほんとうに死んでしまうかも知れません。
夢野久作 少女地獄 青空文庫