詞藻
しそう
名詞
標準
文例 · 用例
人は皆|鴨川(一に加茂川に造る、)君の詞藻は、その眉宇の間に溢れると謂うのである。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
それは其筈で、何もこしらえ事をして飾り立てて我国のことを記したのでもなく、詞藻はもとより大江の家筋を受けていた定基法師であり、又|翰墨の書は空海道風を去ること遠からず、佐理を四五年前に失ったばかりの時代の人であったのである。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
その霽波が云うには、自分は自由新聞の詞藻欄を受け持っているが、何でも好いから書いてくれないかと云う。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
私の無上の悲しみは、私が、私の幻を幻のままにこの世に映し出す詞藻に欠けて、余儀なく、凡そ自ら軽蔑し去つてゐる筈の、在りのままの身辺事を空しくとりあげては、さまよへる己れの姿に憐れみを強ひられる嘆きであつた。
— 牧野信一 『熱い風』 青空文庫
いつも頭に渦巻いてゐる詞藻を持たない幻が、堰を切つて流れ出すかのやうに根限りの精力をささげて倒れるまでは熱中するのが例だつた。
— 牧野信一 『熱い風』 青空文庫
私は詞藻の才が乏しかったから、初めから文人になれようともまたなろうとも思わなかった。
— 内田魯庵 『二葉亭余談』 青空文庫
けだし元義は熱情の人なりしを以て婦女に対する愛の自ら詞藻の上にあらはれしも多かるべく、彼が事実以外の事を歌に詠まざりきといふに思ひ合せても吾妹子の歌は必ず空想のみにも非るべし。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
「うづみ火」のこと 陸中國釜石鑛山内水橋康子として懸賞に應募し、明治四十三年十一月號の『女學世界第一卷第十五號定期増刊「磯ちどり」才媛詞藻冬の卷・小説』の初頭に掲載され特賞(賞金十圓)を得、又主幹松原二十三階堂(岩五郎)氏に激勵鞭撻の書簡を送らる。
— 長谷川時雨 『うづみ火』 青空文庫