死に首
しにくび
名詞
標準
文例 · 用例
――いうまでもなく、人の死に首なぞ売りひさぐ酔狂な商家は、江戸広しといえどもあるはずはないんですから、出所はむろんのことに、平生塩づけの首の貯蔵を許されている個所に相違ないはずでした。
— 生首の進物 『右門捕物帖』 青空文庫
おなじ墓場あらしでも、或いは異国人の死に首を掘り出してくるのではないかという疑いはあったが、近ごろ病死した者がないとすれば、その疑いもすぐに煙りのように消えてしまわなければならなかった。
— 異人の首 『半七捕物帳』 青空文庫
小柳は自滅して仕置を免かれたが、その死に首はやはり小塚ッ原に梟けられた。
— 石燈籠 『半七捕物帳』 青空文庫
山名方がひと息ついて、敵の死に首、味方の手負い討ち死などをあらためているひまに、かれらは路を変えて何処までもと追いつづけて来ると、暗い森のほとりでかの眇目の男に出逢った。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
「エナコの死に首よりも生き首がほしいか」 これをきくとオレの顔に血がのぼった。
— 坂口安吾 『夜長姫と耳男』 青空文庫
虫ケラの死に首も生き首も欲しかアねえや」 こう喚いてやったが、顔がまッかに染まり汗が一時に溢れでたのは、オレの心を裏切るものであった。
— 坂口安吾 『夜長姫と耳男』 青空文庫
虫ケラだと思っているから、死に首も、生き首もマッピラでさア」 ヒメはニッコリうなずいた。
— 坂口安吾 『夜長姫と耳男』 青空文庫
狐死首丘の話や、胡馬越鳥の喩えのようなことは信じられないとするも、燕・雁・犬・猫の類が旧を記憶し故郷を忘れないのはまた奇異と言うべきである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫