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長堤

ちょうてい
名詞
1
標準
文例 · 用例
陽春の日に、蒲公英の咲く長堤を逍遥するのは、蕪村の最も好んだリリシズムであるが、しかも都会の旗亭につとめて、春情学び得たる浪花風流の少女と道連れになり、喃々戯語を交して春光の下を歩いた記憶は、蕪村にとって永く忘れられないイメージだったろう。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
長堤三里の間、ほとんど人影を見ない。
国木田独歩 武蔵野 青空文庫
水天髣髴の間に毛筋ほどの長堤を横たえ、その上に、家五六軒だけしか対岸に見せない利根川の佐原の宿、干瓢を干すその晒した色と、その晒した匂いとが、寂しい眠りを誘う宇都宮の田川の宿――その他川の名は忘れても川の性格ばかりは、意識に織り込まれているものが次々と思い泛べられて来た。
岡本かの子 河明り 青空文庫
けれども長堤も対岸の丘もかなり青み亘り、その青みの中に柔かいうす紅や萌黄の芽出しの色が一面に漉き込まれている。
岡本かの子 雛妓 青空文庫
石浜神社は小社なれどもその古きをもて知られ、真先稲荷は社前に隅田川を控て、遥に上は水神の森鐘が淵のあたりより下は長堤十里白くして痕なき花の名所の向島を一望の中に収むるをもて名あり。
幸田露伴 水の東京 青空文庫
○長命寺の下、牛の御前祠の地先あたりは水|特に深くして、いはゆる○墨田の長堤もまた直に水を臨むをもて、陽春三月の頃は水の洋たると互に相映発して、絶好の画趣と詩興とを生ず。
幸田露伴 水の東京 青空文庫
船に乗りて渡ること半途にして眼を放てば、晴れたる日は川上遠く筑波を望むべく、右に長堤を見て、左に橋場今戸より待乳山を見るべし。
幸田露伴 水の東京 青空文庫
機関車より墜落し長堤を転がりて藪中に落ちたるもの。
コナン・ドイル 臨時急行列車の紛失 青空文庫