紫磨
しま
名詞
標準
文例 · 用例
そこに横たわっている尼僧の屍体も玉幡も経机も、すべて金泥の花弁に埋もれていて、散り敷いた数百の小片からは、紫磨七宝の光明が放たれているのだ。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫
まして正面を眺めますと、御堂の犬防ぎが燦々と螺鈿を光らせている後には、名香の煙のたなびく中に、御本尊の如来を始め、勢至観音などの御姿が、紫磨黄金の御顔や玉の瓔珞を仄々と、御現しになっている難有さは、また一層でございました。
— 芥川龍之介 『邪宗門』 青空文庫
或る時は三十二相を具足する御佛の姿となって、紫磨金の光の中に彼を抱擁するかと見たり、或る時は阿鼻地獄の獄卒の相を現じて、十八本の角の先から燃え上る炎の舌で、刹那に彼を焼き殺すかと見たりする。
— 谷崎潤一郎 『二人の稚児』 青空文庫
我朝はいふに及ばず、天竺震旦にも是程の法滅有るべしともおぼえず、優填大王の紫磨金を瑩き、毘首羯摩が赤栴檀を刻しも、纔に等身の御仏なり。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫