裏屋
うらや
名詞
標準
alley house
文例 · 用例
卑賤にそだちたる我身なれば、始よりこの以上を見も知らで、世間は裏屋に限れる物と定め、我家のほかに天地のなしと思はゞ、はかなき思ひに胸も燃えじを、暫時がほども交りし社会は夢に天上に遊べると同じく、今さらに思ひやるも程とほし。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
……ずゐぶん露地を入組んだ裏屋だから、恐る/\、それでも、崩れ瓦の上を踏んで行きつくと、戸は開いたけれども、中に人氣は更にない。
— 泉鏡太郎 『露宿』 青空文庫
と枇杷の宿にいすくまって、裏屋根へ来るのさえ、おっかなびっくり、(坊主びっくり貂の皮)だから面白い。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
しかも彼女が現在住んでいる池の端の裏屋は甲州屋の家作であるから、ここもおそらく追い立てられるであろう。
— 半七先生 『半七捕物帳』 青空文庫
それよりダハハウエル街の北のはてに、裏屋の二階明きたりしを借りて住みしが、そこに遷りてより、母も病みぬ。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
俺は爰から十町離れた乞丐横町の裏屋の路次の奥の塵溜の傍で生れたのだ。
— 内田魯庵 『犬物語』 青空文庫
どっと、一斉に障子を蹴倒して、五人の者は、先を争い乍ら、裏屋根伝いに逃げ走った。
— 佐々木味津三 『流行暗殺節』 青空文庫
夜が明けたら、また何んとかなろうなぞ師匠は私たちにも話しておられたが、ふと、上野で戦争ということで気が附いて困ったことは、ちょうど、そのいくさのあるという上野の山下の雁鍋の真後ろの処(今の上野町)に裏屋住まいをしている師匠の知人のことに思い当ったのであります。
— 上野戦争当時のことなど 『幕末維新懐古談』 青空文庫
作例 · 標準
例句