法苑
ほうおん
名詞
標準
文例 · 用例
その外|法苑珠林だの何だのと、色々あるのです。
— 森鴎外 『独身』 青空文庫
私は自分一人の好みから、この頃は白檀を使ひますが、青葉に雨の鳴る音を聞きながら、じつと目をとぢて、部屋一ぱいに漂ふ忍びやかなその香を聞いてゐると、魂は肉体を離れて、見も知らぬ法苑林の小路にさまよひ、雨は心にふりそそいで、潤ひと柔かみとが自然に浸み透つて来ます。
— 薄田泣菫 『雨の日に香を燻く』 青空文庫
『法苑珠林』五三に竜樹の成立を述べて、〈南天竺国、梵志の種の大豪貴の家に出づ、云々。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
文帝、すなわち天下に勅し、毎人一銭を出して武帝の追福を修めたそうだ(『法苑珠林』九四)。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
支那には人が鼠の穴を掘って鼠を取り食い、また鼠の貯えを盗み食うた例多く、『法苑珠林』九一に、『薩婆多論』に一切鳥獣の残食を盗めば小罪を得とあるを註して、今時|世智辛くなり、多く俗人あり、鼠穴を毀壊してその貯えた粟、胡桃、雑果子等を盗むはこの犯罪に準ずと記す。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
しかしもし人に幽霊あらば畜生にも幽霊あるべしで、『淵鑑類函』四三一に司農卿|揚邁が兎の幽霊に遇った話を載せ、『法苑珠林』六九に王将軍殺生を好んでその女兎鳴の音のみ出して死んだとある。
— 兎に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
孤りこれ等の姉妹と道を異にしたるか、終に帰り来らざる「理想」は法苑林の樹間に「愛」と相|睦み語らふならむといふに在りて、冷艶素香の美、今の仏詩壇に冠たる詩なり。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
法苑林の奥深く素足の「愛」の玉容になれは、ゐよりて、睦みつゝ、霊華の房を摘みあひて、うけつ、あたへつ、とりかはし双の額をこもごもに、飾るや、一の花の冠。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫