金殿玉楼
きんでんぎょくろう
名詞
標準
magnificent palace
文例 · 用例
帝は太祖の皇孫と生れさせたまいて、金殿玉楼に人となりたまいたれども、如是因、如是縁、今また袈裟念珠の人たらんとす。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
マッチ売の娘の物語を考えついた人もまた、煙草のみたいが叶わず、マッチ点火しては、焔をみつめ、ほそぼそ青い焔の尾をひいて消える、また点火、涙でぼやけてマッチの火、あるいは金殿玉楼くらいに見えたかも知れない。
— 太宰治 『喝采』 青空文庫
額上の汗は天与の黄金、一粒の米は之れ一粒の玉、何ぞ金殿玉楼の人を羨まむ。
— 北村透谷 『客居偶録』 青空文庫
美しき女を数多侍らせ、金殿玉楼に栄燿の夢を見つくさむ事、偏へにわが学問と武芸にこそよれ。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
まだまだ数え立てると限りもないが、要するにトドの詰まるところ文化生活の理想は何かと考えて来ると、彼等が学生や腰弁時代に口を極めて罵っていた、ブルジョアの金殿玉楼生活だという事になるようである。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
(「塵中日記」より) 私はもうこの辺で、その人のためには、茅屋も金殿玉楼と思いなして訪いおとずれた、その当時はまだ若盛りであった、明治文壇の諸先輩の名をつらねることも、忘れてならない一事だろうと、ほんの、当時の往来だけでもあっさり書いておこうと思う。
— 長谷川時雨 『樋口一葉』 青空文庫
これでも、現在の僕達には、金殿玉楼ですよ」 紙を張つた硝子窓から、にぶい午後の陽射しが縞になつて、汚れた軍隊毛布に射し込んでゐた。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
金殿玉楼では亭主関白の膳部のかたわらに女房が給仕に侍し、裏長屋ではガラッ八の野郎が女房お梅をふんづける。
— 坂口安吾 『天皇陛下にさゝぐる言葉』 青空文庫