牢乎
ろうこ
形容動詞
標準
文例 · 用例
そしてこの矛盾せる、しかれども牢乎として抜きがたき要求は、キリストの出現に依て完全に充たさるるに至ったのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
斯うした実証を伴う偏見ほど牢乎たるものはない。
— 夫婦 『南島譚』 青空文庫
その妻が女学校で行灯袴を穿いて牢乎たる個性を鍛え上げて、束髪姿で乗り込んでくるんだから、とても夫の思う通りになる訳がない。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
しかし仔細に点検して来ると、その鬼神も端倪すべからざる痛快的逸話の中にも牢乎として動かすべからざる翁一流の信念、天性の一貫しているところを明白に認める事が出来る。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
十年一日のごとく、文壇に覇王の位置を占めて、牢乎として抜くべからざる勢力のあつた硯友社が根柢からくつがへされて行つたのは、この文章の気分の変転が主なる原因であることは争はれぬ。
— 田山録弥 『明治文学の概観』 青空文庫
旦那の仰しやる通り日本のやうな猶だ男女七歳にして席を同ふせざる封建道徳の遺習が牢乎として抜くべからざる国で、若い女の許へ臆面もなくノコ/\サイ/\やつて来るはどうせ軽薄な小才子か、女の御用を勤めて嬉しがる腰抜の無気力漢だ。
— 内田魯庵 『犬物語』 青空文庫
二葉亭の文学方面をのみ知る人は政治を偏重する昔の士族気質から産出した気紛れのように思うが、決して※んな浮いた泡のような空想ではなかったので、牢乎として抜くべからざる多年の根強い根柢があったのだ。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
それに大正の初年に起された同盟辞職の威嚇によつて京都帝大の贏ち得た研究の自由は、牢乎として此の大学の伝統となり、私は少からず其の恩恵に浴したのである。
— 河上肇 『随筆「断片」』 青空文庫