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来出

らいいずる
名詞
1
標準
文例 · 用例
何故なら技巧とは一々の場合に当つて作者自身の関心内にあることで、殊に芸術の場合には名辞以前の世界での作業であり、技巧論即ち論となるや名辞以後の世界に属する所から、技巧論といふものはせいぜい制作意向の抽象表情を捉へてそれの属性を述べること以上には本来出ることが出来ない。
中原中也 芸術論覚え書 青空文庫
「あんよが出来出す一寸前頃は、一寸の油断もならないので、行李の蓋底におしめを沢山敷いて、その中に入れといたものだが、するとそのおしめを一枚々々、行李の外へ出して、それを全部出し終ると、今度はまたそれを一枚々々、行李の中へ入れたものだよ。
――世の母びと達に捧ぐ―― 一つの境涯 青空文庫
古くは津軽に於いても高屋家記の如きは、大浦氏を以て南部家の支族とし、木立日記にも『南部様津軽様御家は御一体なり』と云ひ、近来出版になつた読史備要等も為信を久慈氏(南部氏一族)として居る事に対し、それを否定すべき確実なる資料は、今のところ無いやうに思ふ。
太宰治 津軽 青空文庫
と思うのには、なおそこに、既に同心同体の睦びの中心であった安宅先生が、だん/\自分の心情にかまけて、このグルウプを疎んじて来出し、そういうわたくしまで、何だかこれ等の友達に秘密を構えねばならなくなった仕儀を感じて来たからでした。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
美濃の大垣の町から西北に当って、町へは一日のうちに往来出来る里程のところに在る檜木村の瑞雲寺へ来てみると、聞きしにまさる破れ寺で、寄宿して勉強するのは許して呉れたが、台所向きは苦しそうで、待遇は随分ひどかった。
岡本かの子 宝永噴火 青空文庫
先ず二階の壁を打っ通して扉をつくり、自分の家の二階とそこの四畳半の部屋との間を廊下伝いに往来出来るようにした。
織田作之助 青春の逆説 青空文庫
奇妙ねえ、お客様が来たとなると不思議にたて続くし……」「不仕合わせなんぞも来出すと束になって来くさるて」 倉地は何か心ありげにこういって渋い顔をしながらこの笑い話を結んだ。
有島武郎 或る女 青空文庫
したがって、二三の主義を終古一定のものとして、万事をこれで律せんとするのみならず、律せんとする尺度の年々に移り行くのを咎めないのは、将来出現の作家には不便宜の極で、かつ批評家の無責任を表白するものではないかと存じます。
夏目漱石 創作家の態度 青空文庫