猟虎
らっこ
名詞
標準
文例 · 用例
黒光りのする店先の上がり框に腰を掛けた五十歳の父は、猟虎の毛皮の襟のついたマントを着ていたようである。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
それをまたその人々の飼犬らしい、毛色のいい、猟虎のような茶色の洋犬の、口の長い、耳の大きなのが、浪際を放れて、巌の根に控えて見ていた。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
やがて、氷の曠原を踏んで猟虎入江を過ぎ、コマンドル川の上流に達したとき、その河口に、ベーリングの終焉地があるのを知った。
— 小栗虫太郎 『紅毛傾城』 青空文庫
黒の山高帽、猟虎の毛皮、わかい紳士は濡れてゆく。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
旦那の友だちは皆、当時流行の猟虎の帽子をかぶり、羽ぶりのよい官員や実業家と肩をならべて、権妻でも蓄えることを男の見栄のように競い合う人たちだからであった。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
丁度それは二番目の兄の森彦が山林事件の総代として始めて上京して、当時|流行った猟虎の帽子を冠りながら奔走した頃のことで。
— 島崎藤村 『家(上巻)』 青空文庫
面白いと思うことは、僕の阿爺が昔|流行った猟虎の帽子を冠って、酒を飲みに来た頃から、その家は有るんだトサ。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
旦那くらい好い性質の人で、旦那くらい又、女のことに弱い人もめずらしかった、旦那が一旗揚げると言って、この地方から東京に出て家を持ったのは、あれは旦那が二十代に当時流行の猟虎の毛皮の帽子を冠った頃だ。
— 島崎藤村 『ある女の生涯』 青空文庫