猿臂
えんぴ
名詞
標準
long arm
文例 · 用例
百人長は猿臂を伸ばして美しき犠牲の、白き頸を掻掴み、その面をば仰けざまに神崎の顔に押向けぬ。
— 泉鏡花 『海城発電』 青空文庫
スルト今まで居眠りをしていた剛力先生、二人共ノソノソやって来て、吾輩等の背後から猿臂を伸ばして水筒を掴もうとする。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
小山駅で水戸の三人武者とも別れて、後はただ一人、俄かに淋しくなれば数日以来の疲労も格段に覚えて、吾輩は日光の鮮かに照す汽車の窓から遠近の景色を眺めていると、吾輩に向い合って腰掛けていたのは頬骨の高いハイカラ紳士、物をもいわず猿臂を伸ばして、吾輩が外を眺めている車窓の日除け扉を閉ざす。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
揃って定食を食べながら、正宗壜を掴んだ猿臂をテーブルの空へ双方から高く差し渡して、あっちでもこっちでも「まあ」「まあ」と勧め合っています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
」驚いて猿臂を伸し、親仁は仰向いて鼻筋に皺を寄せつつ、首尾よく肩のあたりへ押廻して、手を潜らし、掻い込んで、ずぶずぶと流を切って引上げると、びっしょり舷へ胸をのせて、俯向けになったのは、形も崩れぬ美しい結綿の島田|髷。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
途端に、猿臂がぬッくと出て、腕でむずと鷲掴み、すらりと開けたが片手|業、疾いこと!
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
彼は惘然として殆ど我を失へる間に、電光の如く隣より伸来れる猿臂は鼻の前なる一枚の骨牌を引攫へば、「あら、貴女どうしたのよ」 お俊は苛立ちて彼の横膝を続けさまに拊きぬ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
襖を明けて葉子のはいって来たのを見ると倉地はいつもになくちょっとけわしい目つきをして書類に目をやったが、そこにあるものを猿臂を延ばして引き寄せてせわしく一まとめにして床の間に移すと、自分の隣に座ぶとんを敷いて、それにすわれと顎を突き出して相図した。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
作例 · 標準
彼は見事な猿臂の持ち主で、他の選手が届かないような遠くのボールも軽々と拾い上げてしまう。
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険しい岩壁を登るクライマーにとって、その猿臂は強力な武器となり、次のホールドへの到達を容易にする。
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「よし、そこだ!猿臂を伸ばして一気に掴み取れ!」とコーチの熱い声がコートに響いた。
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